コロナ後の経営に行き詰っている会社のご相談
会社破産
目次
1 「コロナ倒産」の増加
事業を行っている個人の方や、会社を経営している場合、コロナ関連補助金や、実質無利子・無担保のいわゆる「つなぎ融資」を活用することで事業を継続してきたケースが少なくありません。
しかしその後、つなぎ融資の返済が始まり、資金繰りに行き詰まり、いわゆる「コロナ倒産」が急増している状況です。
コロナ倒産の多い業種としては、
飲食店、
建設・工事業、
ホテル・旅館、
アパレル小売、
食品卸
などとされています。
コロナ倒産に至ってしまう会社は、コロナ流行以前から経営難に陥っていた会社もありますが、コロナ流行以前は経営が順調だった会社も多くあります。
2 赤字経営の問題点
(1)新規融資が難しい
赤字経営に陥っている場合、新たに金融機関から融資を受けようと思っても、融資審査が通らない可能性が高くなります。
そのため、新規事業を立ち上げるなどして経営を立て直すことが困難になってしまいます。
(2)取引先の信用を失うリスク
取引先に対する返済が滞ってしまうと、その後の取引を拒絶されることが多く、事業自体が立ち行かなくなってしまいます。
また、取引先によっては、取り立てのために会社や社長の自宅に押しかけてくるなどのこともあります。
これにより、社長が本来の事業に十分に対応できない事態に陥ったり、大きな精神的ストレスを抱える状態になってしまいます。
さらに、もし会社をたたんで新しい事業を興そうと思っても、社長自身の信用不安の噂が立ってしまうと新しい事業の大きな障害となります。
(3)破産をしないと会社の清算ができない
会社を閉じる方法の一つとして「清算」がありますが、会社の負債が残ったままの状態では清算をすることはできません。
そのため、会社の破産の手続きを取る必要があります。
3 弁護士に相談しながら会社の再建を目指す方法(私的再建)
(1)会社の状態に応じて最適な手続きを選択する
会社の営業状態、負債の額、キャッシュフロー等の状況によっては、会社の再建を目指すことが可能なケースもあります。
当事務所の弁護士は、多くの会社再建や、どうしても再建できない場合の破産案件などを扱ってきた実績がありますので、まずは、会社の状況について率直にお話しいただければ、再建を目指すべき状態か、あるいは早期に破産手続きを取るべき状態か、適切なアドバイスをさせていただきます。
(2)再建のために弁護士がサポートできること
①債権者との交渉
返済猶予や、返済のリスケジュールなどについて、社長や担当者に代わって弁護士が直接、取引先や金融機関と交渉をすることが可能です。
これによって、社長は本来の事業に専念でき、債権者からの督促によるストレスから解放されます。
ただ、相手によっては、弁護士が代理人として交渉するよりも、社長自身が交渉したほうが円満に話が進むと想定される場合もあります。
私的再建においては、弁護士が交渉する債権者と、社長が交渉する債権者を自由に割り振ることができるため、その点についても弁護士と相談をしながら決めていくことができます。
4 会社を破産させる場合
(1)法人破産とは
債務の総額が大きく、返済のリスケジュールなどによっても返済していくことが現実的でない場合には、会社の破産手続きを取ることになります。
破産とは、裁判所に申立てを行い、会社の財産と債務を清算する手続きです。これにより、一切の返済を行う必要がなくなります。
代表者が会社の債務を保証している場合には、通常、代表者個人も合わせて破産申立てを行います。これにより、代表者も返済を免れることができます。
(2)会社の破産で弁護士がサポートできること
①債権者との対応
弁護士が代理人となることで、未払い債務のある取引先や金融機関との対応は全て弁護士が行いますので、社長自身が対応する必要がなくなります。
債権者からの取り立てや督促もストップします。
②従業員への対応
従業員に対する説明や解雇手続きについて、弁護士がサポートします。
未払いの給与がある場合には、「未払給与立替払制度」などの手続きについて弁護士から従業員の方へ説明します。
会社の規模に応じて、従業員に対する説明会を開催することもあり、弁護士が同席することも可能です。
③不動産の明渡しのサポート
事業所を閉じるタイミングや不動産の明渡し、賃料を滞納している場合の対応などもサポートします。
④裁判所や破産管財人の対応
破産申立てにあたっての書類の作成は全て弁護士が行います。
また、申立後は、裁判所が選任する破産管財人との打合せが必要となりますが、弁護士が立会い、必要に応じて十分にサポートします。
⑤債権者集会の同席
破産手続きにおいては、債権者に状況を説明するための債権者集会が開かれます。これには、会社の代表取締役が出席する必要がありますが、ここにも弁護士が同席し、必要なサポートをします。
5 会社が倒産した後の社長の生活はどうなるのか
やむなく会社の破産をし、代表取締役も合わせて破産した場合でも、代表取締役であった方が新たに事業を始めることに法的な制限はありません。
個人事業主として事業を行うことも、新たに会社を立ち上げて事業をスタートすることも可能です。
ただ、新しいビジネスを始めるにあたっては、自己破産の過程で、出来る限り債権者へ誠実に対応して手続きを修了させることが肝心です。
当事務所では、その点も十分に配慮したうえで、円滑に破産手続きを進めるように致します。