浪費による借金と債務整理について
債務整理目次
借金の理由は重要です
債務整理の案件を扱うにあたっては、借金をしてしまった理由を必ずお聞きします。
なぜなら、特に破産などの手続きにおいては、借金の理由が、免責(借金を返済しなくてよい状態になること)が許可されるか否かに関わるからです。
借金の理由は様々ですが、浪費によって多額の借金をしてしまった方は少なくありません。
浪費による借金であっても、破産が認められる場合は多くありますので、諦めずにご相談ください。
ギャンブルによる借金
(1)パチンコやスロット、競馬などのギャンブルによる借金
パチンコやスロット、競馬などのギャンブルによって借金をしてしまい、気が付いたら多額の残高で返しきれなくなっていたという方は少なくありません。
多くの場合、パチンコやスロット、競馬などで一度に多額のお金を使うわけではなく、少額のお金を複数回に分けて日常的に使っているため、それほど大きな危機感を持たないまま、ギャンブルと借金を続けてしまうようです。
しかしながら、貸金業者や銀行のカードローンなどの借入は、利息が高く、しかも気軽に借りられてしまうため、少額の取引を繰り返しているうちに元金が膨れ上がり、毎月の返済を続けていても利息しか返せておらず、元金が一向に減らないという事態が起こりやすいのです。
カードローンでお困りの方へ(2)ギャンブルによる借金の整理方法
①任意整理
弁護士が代理人となって借入先と交渉を行い、その後の利息をカットしたうえで、月々無理のない返済方法を合意する整理方法です。
あくまで返済していく方法ですので、残高が高額で返済が現実的でない場合には難しいです。
②自己破産
返済が現実的に難しい場合、裁判所の許可を得て、負債の返済をしなくてよい状態(「免責」と言います。)にしてもらう手続きです。
ただ、ギャンブルによる借り入れは、免責が不許可とされる事由として破産法252条1項に定められています。
しかしながら、ギャンブルで作った借金の額やギャンブルの頻度、反省の程度、その後の生活再建の可能性などを総合的に考慮し、免責が許可されるケースも多くあります。
③個人再生
住宅ローンがあり自宅を手放したくない場合に、裁判所の許可と債権者の同意を得て負債の額を減額してもらい、返済をしていく方法です。
株やFXによる借金
(1)株式やFXの取引
株式やFXの取引を手元にある現金で行っている場合には、それが直接の原因で借金を作るということはありません。
しかし、株式やFXの取引では、信用取引を行うことが可能です。
信用取引では、保証金を証券会社に預けることで、保証金を超える金額の取引をすることができ、これをレバレッジと呼びます。
この信用取引を行っている場合、たとえば相場の変動により差損が出ると、証券会社に対して追証(おいしょう)などの負債を支払う必要があります。
そして、追証を支払うための現金が手元にない場合、消費者金融や銀行から借入をすることになり、借金となってしまうのです。
昨今では、スマホの普及によって投資のハードルが下がり、一般の方が投資に挑戦することが増え、なかには大きな借金を作る原因になってしまうこともあります。
(2)株やFXによる借金でも、債務整理は可能
株やFXによって借金が膨らんでしまい、返済できない状態になってしまった場合、債務整理を行うことが可能です。
債務整理には、任意整理、自己破産、民事再生の手続きがありますが、いずれの手続きを取ることもできます。ただ、自己破産に関しては、免責不許可事由について注意が必要です。
(3)株やFXの取引と免責不許可事由
株やFXの取引が不適切な投資と捉えられる場合、破産法上、免責不許可事由にあたります。
破産手続きでは、免責許可決定を得ることによって、債務の返済をしないでよい状態になるのですが、この免責が原則として認められない事由に該当するのです。
とはいえ、投資金額が余りに過大でなく、今後は不適切な投資をしないことを誓約するなどによって、例外的に免責が認められる「裁量免責」となるケースが実際には多くあります。
ご自身の場合に、破産をして免責を得ることが可能かどうか、まずは弁護士に相談することをお勧めします。
ソシャゲの課金による借金
(1)ソーシャルゲーム(ソシャゲ)
ソーシャルゲーム(ソシャゲ)の多くは、基本的に無料とされているため、気軽に様々なタイトルをダウンロードしがちです。
ただ、たいていのソシャゲでは、ゲームを進めると課金システムがあることが分かります。
そして、課金システムは、通常はクレジットカードによる決済になっているため、手持ち金以上のお金を使ってしまったり、リボ払いを重ねてしまったりして、気が付くと借金を作ってしまっているということが少なくありません。
特に「ガチャ課金」は、ギャンブル性があるため、冷静なときには無駄使いと分かっているのに始めると何度もやってしまいがちです。
一度の課金額は少なくても、1日に何時間もゲームをやり、課金を繰り返していると、あっという間に借金ができてしまってもおかしくありません。
リボ払いのメリット・デメリットやリスク等
(2)ソシャゲによる借金も債務整理の対象になる
① 任意整理の場合
ソシャゲによる借金についても、通常の借入と変わらず、任意整理をすることが可能です。
任意整理では、借入の理由は基本的に問題となりません。
② 自己破産の場合
ソシャゲによる借金や、その他の理由による借金が大きく膨らんでしまった場合は、自己破産の申立をすることも可能です。
ただ、ソシャゲによる課金は、ギャンブルのようなものとして「射幸行為」とされ、「免責不許可事由」とされています。
免責不許可事由とは、原則として免責(債務を返済しなくてよい状態にすること)が認められない事由として法律で規定されているものです。
しかし、ソシャゲによる借金が過大ではなく、今後は自制していくことを誓約するなどによって、免責が認められる可能性は十分にあります。
当事務所では、ソシャゲによる借金での自己破産を多数扱ってきた実績があり、いずれも免責が許可されています。
(3)債務整理をすることで、ゲーム依存を治すきっかけになります
債務整理をするとブラックリストに載るため、それ以降の一定期間はクレジットカードを作ることができなくなります。
そのため、ソシャゲを利用する際にクレジットカード決済の登録ができなくなりますので、課金をすることもできなくなります。
ソシャゲのやり過ぎや課金をやめたいと思ったり後悔していてもなかなか自制できない方の場合、債務整理をすることによりなかば強制的にゲームから離れることができますので、ゲーム依存を治すきっかけにもなります。
キャバクラやホストクラブでの借金
(1)キャバクラやホストクラブ
キャバクラやホストクラブでの遊びは、一般的に1回に使う金額が多いため、頻繁に通うとすぐに生活を圧迫するようになってしまいます。
お気に入りのスタッフがいると、特にたくさんのお金を使うようになります。
次第に手持ちのお金で足りなくなり、お店への「ツケ」で飲んでしまったり、クレジットカードのキャッシングやリボ払いを利用してしまうと、利息も重なり、あっという間に多額の借金を抱えてしまいます。
(2)キャバクラやホストクラブが原因の借金も債務整理できます
① 任意整理の場合
借金が自分の収入で返せる程度の金額の場合、任意整理をすることが可能です。
任意整理の場合、基本的に借入の原因は問題になりませんので、キャバクラやホストクラブが原因の借金でも問題ありません。
② 自己破産の場合
借金の金額が大きく、自分の収入では返済しきれない場合、自己破産の申立てをすることが可能です。
ただし、キャバクラやホストクラブに通って多額のお金を使うことは浪費とみなされ、「免責不許可事由」にあたるとされます。
「免責不許可事由」とは、原則として免責(借金を返済しなくてよい状態にすること)が認められない事由として法律で定められているものです。
しかし、借金の額が過大でなく、キャバクラやホストクラブに通ってお金を使いすぎてしまったことを十分に反省し、今後は自分の収入の範囲内で生活していくことを誓約するなどによって、免責が認められる可能性が十分にあります。
まずは弁護士に相談することをお勧めします。
アイドルの追っかけによる借金
(1)アイドルの追っかけ
アイドルが好きで、ライブチケットやコンサートグッズ、交通費、雑誌やCDの購入などで多くのお金を使ってしまう人は多いようです。
あるアンケート調査によると、「オタク」のなかでも、アイドルオタクが最も支出が多いそうです。
アイドルの追っかけのための支出が、収入の範囲内でやり繰りできているのであれば何も問題ありませんが、なかには「もっともっと」という欲求が抑えきれず、借金を重ねてしまう人もいます。
(2)アイドルの追っかけによる借金の債務整理
① 任意整理
任意整理は、弁護士が代理人として貸金業者などの債権者と交渉し、その後の利息を無しにしたうえで生活に無理のない分割返済を合意するものです。
任意整理の場合は、借金の理由は基本的に問題になりません。
ただし、あくまで元金はそのまま返済をしていくことになりますので、借金が多額にのぼってしまい、完済の目途が立てられない状態になってしまっている場合は任意整理はできません。
② 自己破産
どうしても借金を返せない場合は、自己破産の申立をします。
ただ、アイドルの追っかけによって借金を重ねてしまった場合、「浪費」として免責不許可事由にあたります。
免責不許可事由とは、原則として免責(借金を返さなくてよい状態)が認められません。
しかし、これまでの浪費を反省し、今後は収入の範囲内で生活することを誓約するなどの方法により、免責を得られる可能性は十分にあります。
なお、破産にあたって、それまで収集したアイドルグッズを手放さなければならないかどうかは、そのグッズに財産的価値があるかどうかによります。
一般の市場で一定の価値で売却できる場合には、基本的には処分する必要があります。
ただ、通常はそのような処分の対象になるアイドルグッズはあまり多くないでしょうから、大半のアイドルグッズは手元に残せる可能性が高いと思われます。
具体的に心配なことがある場合には、遠慮なく弁護士にご相談ください。
浪費癖を治す方法
習慣的に浪費をしてしまう方の場合、本人にとって困るだけでなく、家族にとっても大きな心配の種になります。
ここでは、そのような浪費癖を治す方法について考えてみます。
(1)債務整理をして借りられない状況を作る
浪費による借金がある場合、債務整理をして借金を整理すると、信用情報(ブラックリスト)に載ることになります。
そのため、その後は新たな借入ができないことになりますので、浪費をしたくても、手持ちのお金以上の浪費はできないことになります。
本当に浪費癖を改める気持ちがあるのであれば、このような客観的状況を作る覚悟も必要です。
(2)カウンセリングや自助グループへの参加
浪費癖を治そうと思っても、自分の意思だけではすぐに変わることはできないものです。
なかなか変わることのできない自分を責めるのではなく、専門家や他者の力を借りることも検討してみましょう。
カウンセリングや自助グループへの参加は、自身の行動を見つめなおし、今後の改善を図っていくうえで大きな助けになります。
また、浪費癖は、精神的ストレスや依存症などが原因になっていることもありえます。
心療内科など、医療機関の受診も検討してください。
さいごに
浪費癖があっても、それによる借金があっても、やり直すことはできます。
一人で悩まず、
債務整理については弁護士に、
行動改善についてはカウンセラーや医療機関など、
専門家の力を借りることをぜひ検討してみてください。
これまで一人で悩み続けていた状態から、きっと抜け出すことができるはずです。